ベトナムでは、EC、オンライン決済、検索、SNS、生成AIなど、企業と顧客をつなぐ接点が急速に変化しています。しかし、重要なのは「市場が伸びているから、とりあえず広告を増やす」ことではありません。自社の顧客がどこで情報を集め、何を比較し、どの段階で不安を感じるのかを理解したうえで、Webサイトやコンテンツへ投資する必要があります。
今回は、2026年にベトナムで事業を行う日系企業の経営者・拠点責任者が押さえておきたい5つの変化を整理します。最新統計の紹介だけではなく、明日から何を確認すべきかまで紹介します。
1. デジタル市場の成長を「自社の顧客接点」に置き換える

ベトナム政府は2026〜2030年のデジタル経済・デジタル社会の発展を政策として進めており、商取引、製造、観光、物流など幅広い分野でデータとデジタル技術の活用が重視されています。一方、マクロの成長率が高くても、自社の商品やサービスが自動的に売れるわけではありません。
経営者が最初に確認すべきなのは、市場規模ではなく顧客の情報収集経路です。既存顧客10社に「最初に当社を知った場所」「比較時に見た情報」「問い合わせ前に不安だった点」を聞くだけでも、投資先の優先順位が見えます。検索が起点ならSEOとWebサイト、紹介が中心なら導入事例、広告が起点ならLPと計測を先に整えるべきです。
2. Webサイトは会社案内から営業の基盤へ

以前の企業サイトは、会社概要、製品一覧、問い合わせフォームがあれば最低限の役割を果たしました。現在は、営業担当者に連絡する前に、顧客がWeb上で候補企業を絞り込む場面が増えています。特にBtoBでは、実績、対応範囲、品質管理、導入プロセス、よくある質問などが見つからないと、比較候補から外れる可能性があります。
まずはトップページを作り直すのではなく、問い合わせに近い顧客が必要とするページを確認しましょう。「誰の、どの課題を、どのように解決できるのか」「他社と何が違うのか」「安心して相談できる根拠は何か」が、スマートフォンでも短時間で理解できる状態が理想です。
3. AI検索でも基本は『役に立つ一次情報』

GoogleはAI OverviewsやAI Modeについて、従来のSEOの基本が引き続き有効であり、特別なAI専用マークアップは不要だと案内しています。重要なのは、検索エンジンに読めるテキストで、利用者の質問に明確に答え、社内の経験や具体例を示すことです。
表面的に似た記事を大量に増やすより、営業現場で繰り返し聞かれる質問を一つずつ深く解説する方が、検索にも商談にも役立ちます。たとえば「ベトナムでWeb制作会社を選ぶ基準」「工場紹介動画で伝えるべき品質管理」「多言語サイトの更新責任」など、担当者が実際に判断するテーマを記事にします。
4. 法規制とデータ管理をWeb改善の一部にする

2026年は、個人データ保護や電子商取引に関する法制度を、マーケティング部門だけでなく経営・法務・ITが共同で確認する必要があります。問い合わせフォーム、Cookie、解析タグ、CRM、メール配信などは、顧客体験を改善する道具である一方、データの取得目的や保管方法が不明確だとリスクになります。
最低限、取得する項目、利用目的、同意の方法、閲覧できる担当者、外部委託先、削除や訂正の受付方法を一覧化しましょう。不要な項目を減らすことは、法対応だけでなくフォーム離脱の削減にもつながります。
5. チャネル別の数字ではなく問い合わせまで計測する

SNSのフォロワー、動画再生数、広告クリック、WebサイトのPVは、活動状況を知るには便利です。しかし、それだけでは業績への貢献を判断できません。重要なのは、どの接点から有望な問い合わせが生まれ、その後に商談や受注へ進んだかです。
月次会議では、流入数、重要行動、問い合わせ率、有効問い合わせ数、商談化率を一つの流れで確認します。すべてを完璧に計測してから始める必要はありません。問い合わせフォームに流入元を保存し、営業側で案件状況を更新するところから始めれば、次の投資判断が具体的になります。
6. 経営者が今月確認したい5つの質問

- 当社の顧客は、問い合わせ前にどこで情報を集めているか
- Webサイトで、選ばれる理由と実績がすぐに分かるか
- 営業現場の質問を記事やFAQにできているか
- フォームやCRMのデータ取得・管理責任が明確か
- アクセス数だけでなく、商談につながった流入元を確認できるか
一度にすべてを変えるのではなく、最も問い合わせに近い弱点を一つ選び、90日で改善・計測することが現実的です。
まとめ
2026年のベトナムのデジタル市場では、新しいチャネルへ次々と手を出すことよりも、顧客理解、Webサイト、信頼コンテンツ、データ管理、計測を一つの導線として整えることが重要です。市場の変化を自社の優先順位へ置き換えられれば、販促費を単なるコストではなく、学習を積み上げる投資に変えられます。
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